館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 日本歴史之掛図
森金四郎著作
小林蟶湖(ていこ)画
(※蟶は本来「木へん」に「聖」)
白鳥庫吉・加藤秀一校閲
紙本著色
軸装
183.0×174.5cm
1891(明治24)年
1903(明治36)年から1945(昭和20)年までは国定(文部省著作)教科書時代であった。この時代、修身のように、多くの国定掛図が作られた科目もあるが、歴史や国語のように、国定ではなく民間発行の掛図に頼っていた科目もある。なかでも、歴史は明治元年以降、文部省発行のものが皆無で、すべて民間発行の掛図に頼っていたのが実情である。
写真の掛図は国定期の前につくられたものである。広く普及させるには、印刷によって数多く製作する必要があるが、この掛図は手描きものである点で、まず興味深い。内容は神武天皇から明治維新までの歴史を、時代の文物、事件、活躍した人物などをあしらいながら細かく描いている。管見の限り、これほど大きい歴史掛図はほかに見あたらない。小林蟶湖は松本楓湖(ふうこ)の弟子で、歴史画を得意とした画家である。なお、軸には1891(明治24)年に明治天皇が観覧したとの札が添えられている。