館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 島津斉彬印章
ガラス
江戸後期(1850年代?)
縦4.0×横4.0×高5.1cm
(印面 縦3.7×横3.8cm)
島津斉彬(1809-1858)は、鎌倉時代以来の名門、薩摩(鹿児島)藩主・島津氏の第28代当主である。
藩主在任は7年余であったが、混迷の度を深める幕末の時局に、開明派大名として藩政運営はもとより、国政、外交面にも卓越した見識、手腕をもって臨んだ名君とされる。西洋の科学技術導入にも積極的で、薩摩に藩営工場の集成館を設置し、製鉄・造兵・化学・陶磁・ガラス・製紙・紡績等の多方面にわたる殖産興業策を展開した。現在、鹿児島を代表する工芸品のひとつ、薩摩切子もここから生まれている。
本資料は、斉彬所用の印とされ、印面は、方形の区画に沿って2頭の龍が向かい合い、その中に「源氏斉彬」と陽刻されている。印材は良質なガラスで、微少な気泡がわずかに認められるものの、透明度が高く、研磨も丁寧に施されている。おそらくは、集成館で製造されたガラスを利用したものであろう。