館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 読書入門掛図
文部省編輯局
木版色刷
66.5×44.5cm
1887(明治20)年
掛図はクラスの一斉授業における視覚教材として重要視された。その理由のひとつは「学制」の施行後、児童用教科書が発行されても、はじめから子どもたちすべてが教科書を手にすることはできなかったことにある。当時教科書は和紙を使用したもので、まだ高価だった。そのため、学校で教科書をある部数備え付けたり、2人や3人掛けの机を使用したのは、複数で1冊の教科書を見ることを考慮したものとされている。
写真の掛図は、文部省編纂教科書『読書入門』に対応した20図からなる内容のものである。文部省が発行した国語関係の掛図は、初期の「単語図」「連語図」「伊呂波(いろは)図」「五十音図」「小学指教図」などを除けば、戦時下の国民学校期までなかったといわれてきた。しかし、この「読書入門掛図」の奥付には、文部省が1887(明治20)年に発行したことが記されていることから、これまでの定説を再考する必要があるだろう。