館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 教場用 小学修身訓画 第二十
歌川芳洲画
木版色刷
縦62.5×横37.5cm
1894(明治27)年
日本の学校に掛図が導入されたのは、1873(明治6)年以降である。掛図とは、学校の教室において黒板や壁面に掲げて教授に用いた大判の絵図や表などをさし、教科書と同様に重要な教具であった。
写真の掛図は修身の授業で用いられたもので、束になったものをめくるタイプのものではなく、10枚1組(それぞれ掛けるための紐がついている)になっているものの1枚である。1枚ずつ両面を使って錦絵が張ってあるので、計20場面になる。各内容は、和洋の著名人物とその徳目を示したものである(写真は百年戦争末期のフランスを救ったジャンヌダルク)。
掛図は使用するたび傷みやすいし、大判のため保管が容易でないことも加わり、使用されなくなったものは破棄されることが多かった。近年掛図が注目されているのは、そうした希少性も関係しているが、何より掛図がもつ教育史的価値に多くの人が気づいたためであろう。