館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 小学女礼式図解
安達吟光 画
大判錦絵
木版色刷
縦37.3×横25.1cm
大倉孫兵衛発行
1882(明治15)年頃
女礼式(じょれいしき)とは、女性が心得るべき礼儀作法のことで、絵入りの女礼式解説は、明治期に多数作られた。これもその一例で、家庭における衣食住や起居、来客の接遇、学校生活、儀礼行事、芸事など、約30の場面での作法をとり上げている。これらは良妻賢母を養成するためのものであるが、生活を営む上での、当時の通念・社会規範を読み取ることができる。
本資料は、1枚の紙に2場面連刷されており、図示したものは、第12図の「授受捧呈」と題する場面である。まず辞令書の授け方を解説した後、受け取る側の所作として、進退時の歩の進め方、書類の受け取り方法、お辞儀のタイミング、書類の開き方、受領後の椅子での控え方などを、細かく解説している。当時の女学校における卒業証書の授与なども、恐らくこのような形で行われたのであろう。
作者の安達吟光(あだちぎんこう、生没年不詳)は、1870(明治3)年頃から約30年間にわたって活動した絵師である。