館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 有孔鍔付土器
器高12.4×口径7.9cm
縄文時代中期(藤内Ⅰ式)
田端遺跡(東京都町田市小山町)出土
この土器は、1968(昭和43)年に玉川学園考古学研究会が、田端(たばた)遺跡を調査した際に出土した。1号住居址(近年の町田市教育委員会による史跡整備目的の再調査時には、「C区6・7号竪穴住居跡」と附番)の床面上で検出されたが、口縁の一部をわずかに欠損する以外、ほぼ無傷の状態であった。口縁直下に器壁の内外を貫く孔が9つ穿たれ、その下に、鍔(つば)というには若干の躊躇(ちゅうちょ)を覚える隆帯が巡っている。球形を呈する胴部には、渦巻と円形の突起文が貼り付けられ、その上部に、笹竹を半分に割った工具で沈線文が引かれている。また、ほとんど剥落しているが、脚台内部を除く土器の全面に、赤色顔料が塗られていた。
この種の土器の用途は、醸造具説、太鼓説、種子容器説等があり結論をみていない。しかし、本資料のように小ぶりのものは少なく、また台付の形状や赤彩から、祭祀等の何か特殊な目的に使用されていた可能性が考えられる。