玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2005年

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有孔鍔付土器

有孔鍔付土器

器高12.4×口径7.9cm
縄文時代中期(藤内Ⅰ式)
田端遺跡(東京都町田市小山町)出土


この土器は、1968(昭和43)年に玉川学園考古学研究会が、田端(たばた)遺跡を調査した際に出土した。1号住居址(近年の町田市教育委員会による史跡整備目的の再調査時には、「C区6・7号竪穴住居跡」と附番)の床面上で検出されたが、口縁の一部をわずかに欠損する以外、ほぼ無傷の状態であった。口縁直下に器壁の内外を貫く孔が9つ穿たれ、その下に、鍔(つば)というには若干の躊躇(ちゅうちょ)を覚える隆帯が巡っている。球形を呈する胴部には、渦巻と円形の突起文が貼り付けられ、その上部に、笹竹を半分に割った工具で沈線文が引かれている。また、ほとんど剥落しているが、脚台内部を除く土器の全面に、赤色顔料が塗られていた。

この種の土器の用途は、醸造具説、太鼓説、種子容器説等があり結論をみていない。しかし、本資料のように小ぶりのものは少なく、また台付の形状や赤彩から、祭祀等の何か特殊な目的に使用されていた可能性が考えられる。

「全人」2005年1月号(No.678)より

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