館蔵資料の紹介 2004年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2004年 > パントクラトールのキリスト
ギリシア・イコン
板にテンペラ
103.0×66.3cm
1600年頃
パントクラトール(全能の神)のキリストは、玉座に座り、右手で祝福し、左ひざにのせた聖書を左手で開く仕草であらわされる。教会ではイコノスタシス(聖障壁:聖堂の祭室と信者席を仕切るイコンをはめ込んだ壁面)の最も重要なところに置かれた。右手の指の形はキリストを表すIC、XCの神聖文字を示すと同時に、キリストの祝福を意味している。また、右手自体の位置は忠実な神の民を守る意味があり、開いた聖書には全能の神であるという証しの言葉が書かれている。
画面上部黄金背景のなかにキリストをはさんで向かい合う形で配されているのは、天上界の天使セラヒムとケルビムである。キリストの着衣の色彩は、玉座の際立った赤色と金箔を用いた空間処理と相まって、荘厳さに満ちた偉大なる至高の神を効果的に表現している。