館蔵資料の紹介 2004年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2004年 > マンディリオン(聖顔布)
ロシア・イコン
板にテンペラ
32.0×27.0 cm
1600年頃
エディッサのアブガル王は、主のもとに一人の画家を遣わし、肖像を描かせようとしたが、画家は主の顔から発する輝きのため、描くことができなかった。その時キリストは自ら、麻布(マンディリオン)に顔を押しつけ、アブガル王に送ったところ、布にはキリストの顔が映し出されて残り、後にも多くの奇蹟を現したという。そのため、この類型に属するイコンは顔が正面を向く形で表される。また、マンディリオンにまつわる伝説は、イコンがキリストや聖母などの原像が映し出されたもので、人によって描かれたものではないとの解釈にも結びついている。画面では、左右二人の天使がキリストの顔が映し出された布を掲げもち、背景の布地の色が顔の茶系統の色彩を際立たせている。