館蔵資料の紹介 2004年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2004年 > 文部省御選定 祝祭日唱歌註釈
大和田建樹(おおわだたけき)(1857-1910)註釋
博文舘発行(※博は本来異体字)
縦15.2×横22.7×厚0.2cm
1893(明治26)年
教育勅語制定以後の近代日本の子どもたちにとって、元日は登校日であった。新年を迎えた朝をはじめ、年に数回の祝祭日には、児童・教職員一同が学校に集まり、儀式が催されたのである。ご真影への拝礼、教育勅語の朗読、校長の訓話などが行われたが、式で歌う唱歌も決まっていた。
本資料は、1893(明治26)年8月に文部省告示で制定された祝祭日儀式用の唱歌8曲に、国文学者大和田建樹による歌詞の大意の注釈をつけ、翌月に出版された歌集である。「君が代」を除いた収録曲のほとんどは、第2次世界大戦後の儀式廃止とともに歌われなくなったが、出雲大社宮司・政治家の千家尊福(せんげたかとみ)(1845-1918)作詞、雅楽家・東京音楽学校教授の上真行(うえさねみち)(1851-1937)作曲による「一月一日」に限っては、その賑々しさと、第1章の歌詞が思想的に特に偏ってはいないことから、現在でも正月に放送されるなど、多くの人の耳になじみ、民間レベルで親しまれている。