館蔵資料の紹介 2003年
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服部雪斎画
紙本著色 26.4×19.8cm
1872(明治5)年
服部雪斎(はっとりせっさい)は1807(文化4)年に生まれ、江戸期の本草画で有名な人物である。1845(弘化2)年に、江戸時代の博物画を代表する図譜の一つと称される武蔵石寿(むさしせきじゅ)編集の貝類図譜『目八譜(もくはちふ)』制作の中心となる活躍をした。明治期には、文部省博物局で博物画専門の画工として動植物関係の絵を描き、また版本挿絵や版画の版下絵の制作で知られている。以後、1879(明治 12)年まで博物局に勤めていたが、没年は不明である。
雪斎がこの絵を描いた1872(明治5)年は、旧湯島聖堂大成(たいせい)殿において博覧会が開催された年で、彼も博覧会に絵を出品している。明治前期の教育用絵図では、掛図「博物図」「動物図」「教草」などの図を担当したが、版で刷られた絵と違って、この資料からは雪斎の写実力がよくうかがえる。なおこの絵は、当館所蔵の博物学者伊藤圭介(いとうけいすけ)関係資料の中から発見された資料である。