館蔵資料の紹介 2003年
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東京帝國大學
1899(明治32)年7月10日
縦 46.7×横 64.8cm
門出の季節にあたり、1通の卒業証書を取り上げたい。学生の名は波多野精一(はたのせいいち)(1877-1950)、東京帝国大学文科大学哲学科卒業時のものである。波多野は、後に京都帝国大学で宗教哲学を担当し、小原國芳もその門下で学んだひとりであった。晩年、草創期の玉川大学に教授として招かれ、玉川学園構内の自宅で病没するまで、宗教哲学や西洋哲学史を講じたのみならず、その存在自体が大学の支柱のひとつであった。
当時の卒業証書は、現代のものと大分趣きを異にしている。哲学担当のケーベルをはじめ、英語の小泉八雲など、各科目を認定した教授陣が各々署名捺印し、分科大学長である文科大学長(現在の文学部長に相当)と総長が順次承認する形をとり、最高学府に相応しい重々しさが醸(かも)し出されている。
なお、1922(大正11)年度から4月入学に改められるまでは、大学は9月入学・7月卒業という制度であった。