館蔵資料の紹介 2002年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2002年 > 双六
江戸時代
盤 木製 象牙象嵌・蒔絵仕上げ
賽・駒 象牙・黒檀
盤幅43.3×奥行27.0×高21.4cm
双六(すごろく)とは古代インドで誕生し、中国を経て日本に渡ってきたゲームで、正倉院御物にも遺例が見られる。白黒の二手に分かれ、盤上の15個の駒を2つの賽(さい)の目の数だけ進め、自陣から相手方に早く送り込んだものを勝ちとする。双六は古代から賭博(とばく)に用いられ、たびたび禁令が出されるほど盛行したが、江戸時代になると賭博は賽子(さいころ)のみを用いるようになり、18世紀末にはほぼ廃れた。わずかに女性や子どもの遊具として残ったものの、次第に紙に描かれたストーリー性を持つマスの上を、駒を進める絵双六に変化していった。本例は盤の側面に松と梅を蒔絵(まきえ)で描いており、おそらくは嫁入り道具のひとつとして作られたものであろうが、白黒の駒1対と賽を振るための筒を欠失している。現在この種の双六は、わずかに雛(ひな)道具の中に姿を留めるほかは、インドから欧州にもたらされて発展した、バックギャモンという同一起源のゲームに見ることができる程度である。