館蔵資料の紹介 2000年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2000年 > 教育紙芝居
(上)「キャラメルと兵隊」
縦 19.4×横 24.1cm
昭和16年
札幌日本教育活動画劇出版協会発行
(下)「発明王エジソン」
縦 25.3×横 37.3cm
昭和25年
東京日本教育画劇社発行
紙芝居は子供を対象とした、わが国独自のものである。その始まりは昭和初期の不況時代、東京において大勢の失業者が街頭で子供を集め、割り箸に巻き付けた水飴を売る手段として紙芝居を見せたことによる。
昭和10年ころになると、愛国心の育成と称して幼稚園や小学枚において紙芝居が大いに利用された。やがて戦時体制が強化されると、見せる内容の禁止事項を徹底するために警視庁による検閲が厳しく、次第に教育上悪影響を及ぼすものが目立ちはじめ、事態を心配した教育者によって、紙芝居の教育化運動が盛り上がり教育紙芝居が誕生した。
本号に揚げた「キャラメルと兵隊」は昭和16年に戦争の宣伝用として制作されたもので、台詞の内容は貧困で、兵隊の手柄や勇敢な態度を褒めた戦争に直接関係する教訓ものである。
次の「発明王エジソン」は昭和25年に制作されたもので、台詞は日本語と英語が併記してあり、小学校の住所入りのゴム印が押されているところから、紙芝居を通して小学校の教育現場で英語教育も行われたことがわかる。
昭和30年代に入ると経済の高度成長で失業者の減少と、テレビの普及やその他の視聴覚教材の発達によって、紙芝居を活用した教育は衰退してしまった。