館蔵資料の紹介 2000年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2000年 > ピエトロ・コンサグラ「ローマ人の会話」
ブロンズ
104×125×18cm
1957年制作
藤沢武夫氏寄贈資料
この作品はブロンズ鋳造による板状のパーツ10枚を溶接してつくられている。
写真で黒く見える部分は鋳造したままの状態にしており、白っぽく見える部分は荒く磨いて仕上げてある。作品の奥行き自体はあまりないが、板状の面の重なり、接合、表面処理によって計算された複雑な空間をつくり出している。
作者のコンサグラ(1920-)は1944年からローマを拠点に制作活動を開始し、それまでイタリア彫刻界を覆っていたマリーニ、マンズー、グレコや未来派などの影響を脱した新しい表現を追究していった。1947年、グループ〈フォルマⅠ〉の創設に加わったほか、1960年のヴェネツィア・ビエンナーレでは大賞を受賞するなど、戦後イタリアを代表する彫刻家として知られている。彼の作品には薄い金属板に彩色したもの、ブロンズ鋳造によるレリーフ状のもの、木の板を記号的に組み合わせたものなどのシリーズがあるが、いずれも直立した板状の形体をもち、正面性の強い作品が多い。