館蔵資料の紹介 1999年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 1999年 > 通信簿(品行簿)
教育博物館には明治10年代の通信簿「品行簿」(写真。毎日、学校と家庭とのあいだを往復する三つ折の通信簿。学校からは毎日、品行善良者に○、品行不正、罰則に触れた者に×印をつけて家庭に持ち帰らせ認印を押させた。但し、学業成績の記入欄はない。未使用品)から、第二次大戦後の昭和22年のものまで39通のいわゆる通信簿が収蔵されています。しかしその名称はいろいろで、「通信簿」と表記されていたのは案外少なく、大正、昭和では「通知表」が一番多く使われていたようです。中には「日課優劣表」(明治16年)等というのもありました。
これらの通信簿の成績表記にも時代による変化が見られます。小学校に限ってみても漢数字による十段階法や五段階法も、100点法もありましたが、一番長い間使われたのが「甲、乙、丙、丁」かそれに「戊」を加えた五段階で、明治時代後半から昭和15年頃まで続いたようです。その後は「優、良、可、不可」となりますが、優と良の間に良上が入り、良と可の間に良下が入っているものもありました。昭和22年度の東京都内の公立小学校の通信簿には「優、上、普、下、劣」の五段階が記されています。そして昭和23年度からは「+2、+1、0、-1、-2」方式となり、学校教育の面でのアメリカ化が進むのです。