NEURONには刺激の入力方法として、AlphaSynapse入力とIClamp入力の2つの方式がある。
【AlphaSynapse入力】
この入力は、細胞膜(セクション)に、以下の図1のような電流を流すことが可能である。
この電流は、シナプス後電位の形状と類似しているということから、簡易的にシナプス入 力をシミュレーションする時に利用される。
AlphaSynapse入力は、以下の4つのパラメータを用いる。
※パラメータの『e』は、反転電位と呼ばれるもので、セクションに流れる電流の方向
を決定している。
『e』に静止膜電位より高い値を設定した場合(EPSP)、セクションには外側から内側に向
けて電流が流れる。また、『e』に静止膜電位より低い値を設定した場合(IPSP)、セクション には内側から外側に向けて電流が流れる。(図2)
☆刺激の入力方法(手順)
①膜の性質コマンドの後に、
objectvarコマンドを入力する。
②刺激するセクションと、位置を入力する。
※以下のセクションの位置(6μm)に刺激を入力する場合、セクションの全長(L)を1とし
て考えるため、値は6ではなく、0.2とする。(図3)
③最後に、『onset,gmax』の値を入力する。
【IClamp入力】
この入力は、セクションに、以下の図4のような任意の矩形波状の電流を流すことが可 能である。
この電流は、生理実験において、細胞から活動電位を記録したい場合や、膜電位を任 意の値で保持したい場合に利用される。
IClamp入力における矩形波は、シンプルな形状であるため、パラメータは以下の3つである。
☆刺激の入力方法(手順)
①膜の性質コマンドの後に、objectvarコマンドを入力する。
②刺激するセクションと、位置を入力する。
③最後に、『del,dur,amp』の値を入力する。
以上が、細胞の1点に1回刺激を与える際の方法である。
【複数回ver.】
細胞の1点に複数回刺激を与える際の方法(手順)について、AlphaSynapse入力を用い て説明する。
例. 1点に2ms間隔で3回刺激を与える
①上記のようにオブジェクト変数を入力する(今回は3個入力する)。
②ぞれぞれのオブジェクト変数内に、刺激位置を入力する。
(今回は同じ位置に入力するため、入力される値は以下のように同じである)
③AlphaSynapseの『onset』に、以下のように入力する。
これは、図に表すと以下のようになる。したがって、今回2ms間隔に刺激を与えるため
それぞれの値が1,3,5となる。
④最後に、AlphaSynapseの『gmax,tau』を同じ値に設定する。
また、IClamp入力による複数回刺激の場合も、手順はAlphasynapse入力の場合と同じである。