館蔵資料の紹介 2021年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2021年 > 小學体操の圖
作者不詳 大沢久吉(画作・出版) 木版色刷
縦36.3×横25.0㎝ 1887(明治20)年
この資料は、男子児童が体操や遊戯を行っている運動会の様子を三段で構成した子ども向けの錦絵である。当時はまだ、学校に広い運動場がなかったため、近隣の広い場所に数校が集まり、合同で運動会を開催していた。運動会では、資料のような集団での体操や遊戯、そしてここには描かれていないが、綱引き、球拾い、徒競走など、さまざまな競技が行われていた。
資料の上段は球竿(きゆうかん)を使った体操の場面である。球竿は柔軟体操の補助的な役割をする体操用具で、1メートルほどの木の棒の両端に木製の球がついた形状をしている。中段は、亜鈴体操をする子どもたちである。亜鈴(あれい)も木製で、運動にはずみをつけるほか、球と球を打ち合わせて音を出し、リズミカルな体操をするために使われた。画中の「一二三」の数字は、亜鈴体操の順序を示している。
下段は、鬼ごっこの一種である「背打鬼(せうちおに)」という遊戯をしている場面である。なお、画中の子どもたちには全員名前がつけられ、面白味が感じられる構図になっている。