館蔵資料の紹介 2020年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2020年 > 小學運動圖解
井上探景(画) 三宅半四郎(画工・出版)
木版色刷 縦36.5×横24.0㎝ 1887(明治20)年
運動会は、修学旅行と並んで日本独特の学校行事である。その始まりは、1874(明治7)年に海軍兵学寮(海軍兵学校の前身)で開催した「競闘遊戯会」とされるが、全国の小学校に普及していくのは、明治20年代になってからである。
当時の運動会は、数校が近隣の広い場所に集まり、共同で実施されていた。内容は運動会と遠足が合わさったようなもので、児童は目的地まで旗を掲げて行進し、さまざまな遊戯、競争種目、体操などの運動を行った。
今回紹介する資料は、その頃の運動会の様子がわかる貴重な錦絵である。上段から、「行進」「綱引き」「旗取り競争」「球投げ」の図が描かれている。添えられている文字は1段目から3段目までが軍歌「来たれや来たれ」で、4段目は「海ゆかば」になっている。
文部省は1900(明治33)年に「小学校令」を再改正して、各学校に体操場(運動場)の設置を義務付けた。さらに祝祭日の行事として運動会開催が奨励されると、各学校は運動会を単独開催するようになった。