館蔵資料の紹介 2019年
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ヨゼフ・ヴォルフ 画
『鷹狩論』所収
石版手彩色 縦69.5 ×横51.0㎝ 1844年
この作品は、ヘルマン・シュレーゲルとヴルフェルホルストの『鷹狩論』(1844-1853)という図譜の中の1枚である。この絵を描いたヨゼフ・ヴォルフ(1820-1899)は、グールドの鳥類図譜のうち、『アジア鳥類図譜』『イギリス鳥類図譜』で図版を担当した画家である。
ヴォルフはドイツのコブレンツ近くのモーゼルで生まれた。幼い頃から動物好きで、絵を描くのも好きだった彼は、16歳になると石版工房の下絵描き見習いとして働いた。1844年、ヴォルフは『鷹狩論』に、実物大の図版を描く仕事を得た。その絵は多くの人から絶賛されたが、さらに絵の上達を望んだ彼は、国内やベルギーで絵画を学んでいる。
グールドは彼の描いたハヤブサの習作や《砂浴びをするヤマウズラ》を所有し、さらに油彩画《雨宿りをするヤマシギ》という作品をヴォルフに注文している。この絵は1849年にロンドンの王立美術院で展示された。ヴォルフの作品の描写力に魅せられたグールドは、彼を工房の一員として迎え、以来約30年にわたりヴォルフはグールドのもとで鳥の絵を描いた。