館蔵資料の紹介 2013年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2013年 > 賀茂真淵肖像画
1幅
作者不詳
西川春洞賛 絹本著色
掛軸装
明治−大正初期
縦124.8×横49.0cm
『万葉集』の研究などで知られる、江戸時代中期の国学者、賀茂真淵(かものまぶち)(1697−1769)の肖像である。残念なことに、像の下半に掛軸の巻き折れ癖が原因の、大きな傷がついてしまっている。
彼は浜松の郊外に神職の子として生まれ、京に上り荷田春満(かだのあずままろ)に国学を学び、40歳を過ぎてから江戸に出て、御三卿の田安家に仕えるなどした。
この絵の作者は、落款がないためわからない。上部に『賀茂翁家集』に収録の和歌「飛騨たくみ ほめてつくれる 真木はしら たてしこゝろハ うこかさらまし」が、賛として記されている。これは、真淵が59歳のときに書斎を作り、これを祝賀するため、宝暦5(1755)年9月26日、弟子らが集まって歌会を開いた折に詠んだものである。賛の筆者として、菅原元讓の署名があるが、これは明治から大正初期の書道界で重きをなし、また書家で書の研究者として著名な西川 寧(やすし)の父でもある、西川春洞(しゅんどう)(1847−1915)と考えられる。