館蔵資料の紹介 2012年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2012年 > 大日本内国勧業博覧会の図 美術館出品の図
歌川芳春(うたがわ よしはる) 画
大判錦絵3枚続
明治10(1877)年
殖産興業で国の基盤を形成しようとした明治政府は、国内各地の産業や産物を調査するとともに、産業の普及と奨励のために博覧会事業を展開するようになった。「内国勧業博覧会」は、明治6(1873)年にオーストリアで開催されたウィーン万国博覧会を手本に、国家的事業としてはじめられた。明治10年の第1回博覧会の会場は上野公園に設けられ、約10万平方メートルの土地に美術館、農業館、機械館、園芸館、動物館などのパビリオンが建てられた。この錦絵は美術館の展示風景をあらわしたもので、中央から左上部には美術館の外観風景が描かれている。
作者・歌川芳春(文政11~明治21/1828-88)は、はじめは二代目・柳川重信に師事し、のちに歌川国芳の門人となった浮世絵師。浮世絵師として活動をはじめた頃は芳晴という名であったが、のちに芳春と改めた。号(本名の他に用いる名)には一橘斎(いっきつさい)、一梅斎(いちばいさい)、一峰斎(いっぽうさい)、朝香楼(ちょうこうろう)などがある。江戸時代の弘化年間から明治10年代頃まで活動し、美人画、武者絵のほか、大曲馬、蒸気車などの開化絵、おもちゃ絵、読本挿絵を描いた。