館蔵資料の紹介 2010年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2010年 > 孔夫子之像(こうふうしのぞう)
高 嵩谷 画
1幅
掛軸装
絹本著色
江戸中期
縦96.8×横38.5cm
『史記』によると、孔子(前551-前479)は身長約216cmの大男であったという。また上の前歯が出て、手指の爪が伸びた状態に描かれるのが図像表現上の特徴で、聖人思想家のイメージからは少々ずれる。本図は出っ歯ではないが、やはり右手親指の爪が長く描かれている。
作者は、英一蝶(はなぶさいっちょう)の孫弟子にあたる町絵師・高崇谷(こうすうこく)(1730-1804)と考えられる。本図右下の落款の印影が判然としないため、表具の裏面上部にある「孔夫子之〔像〕カ 嵩谷筆」という書き付けに基づく。
毎年2月と8月の上丁(じょうてい)〔最初の丁(ひのと)の日〕には、孔子を祭る釈奠(せきてん)が行われ、江戸時代にも湯島の聖堂や各地の藩校等で開催された。孔子像の需要としては、釈奠の際に祭壇に飾る神像が考えられるが、本図は町絵師の作であり、公的な学校よりも私的な立場で行う釈奠に用いられたのであろうか。
今秋の釈奠の期日は、9月14日(旧暦8月7日丁卯)になる。