館蔵資料の紹介 2003年
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文部省
田中芳男撰・服部雪斎画・久保弘道校
銅版刷(色刷部分は木版)73×53cm
1873(明治6)年
明治期の学校教育の場に掛図が登場したのは、1873(明治6)年である。発行は東京師範学校で、アメリカの各種初等教育用チャートを模して、「五十音図」「数字図」「単語図」「連語図」など計28図を製作した。これらは翌年に改版され、各地で翻刻されて普及していった。
このような掛図のほかに、文部省は「博物図」を刊行した。これはM.Willson & N.A.Kalkinsの「School and Family Charts」中の動植物図を参考にしてつくったもので、動物5図、植物5図の計10図からなる。
刊行は1873(明治6)年から1878(明治11)年にかけての6年間で、著名な博物学者らが製作にたずさわり、加藤竹斎、長谷川竹葉、服部雪斎などの画家が図を担当した。製作には銅版印刷が採用され、動植物の細部まで表現することに成功している。
この「博物図」は当時、教科書にはなかった科学教材のかわりに、科学入門の役目を担ったものとして貴重な資料である。