館蔵資料の紹介 2002年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2002年 > 子供あそび いくさまなび
3代 歌川広重作?(うたがわひろしげ)
1868(明治元)年頃発行
縦35.8×横48.5cm
「子供あそび」とは、子ども達が二手にわかれ、ゲームとも喧嘩(けんか)ともつかぬ形で争う場面を描いた版画で、当時様々なバリエーションのものが作られた。そこから明治初年の服装や遊具・遊び方など、子どもの風俗を知ることができる。本図は、端午の節供(せっく)に子ども達が賑やかに「戦争ごっこ」をしている様子が見て取れ、図中にせりふも書き込まれている。実は、これは明治維新時の戊辰(ぼしん)戦争という実力による政権争いの諷刺(ふうし)画である。子ども達の着物の柄や持ち物が、大名の家紋や領地の特産品、語呂合せなどの判じ物になっていて、それぞれの子どもが何藩を示しているのかがわかる。画面右端、ひるがえる手拭(てぬぐい)製の錦の御旗の下に「金」のまといを持って立つのが明治天皇で、その前を薩摩・長州・土佐などの倒幕側が固め、対する左側が朝敵とされた佐幕の諸藩が表されている。作者に関する記載はみられないが、3代・歌川広重(1842~94)の作と推定される。