小学部英語授業見学 7

 

2005年秋学期の英語コミュニケーションの受講学生達が、小学部3年生の英語授業を見学させていただきました。詳しい、小学部の英語授業などについての内容は前回の報告(報告1報告2報告3報告4報告5報告6)を参考にしてください。今回は、学生達の見学報告書の内容を添付することで、報告とします。 

 

 

Student

Comment

R.N

印象に残ったこと:
“農夫とカブ”が教科書となり、子どもたちは授業を楽しんでいた。久しぶりにたくさんの子どもたちが積極的に手を挙げて、発言しようとしている姿がとても印象に残った。常に英語に触れることのできる環境が整っていると感じた。英語だけの教室が用意されているのはうらやましい環境だった。

小学部の英語授業で学んだこと(授業の流れ、展開、アクティビティの工夫など):
日本人教師のときは、子どもたちが絵の部分を大きな声で読んでいた。絵と、繰り返し出てくる登場人物のおかげで、子どもは単語をしっかり覚えることができると思った。外国人教師の授業では、最初から授業を見ることができた。教科書がファイルと、配られた“農夫とカブ”の本だった。時々日本語も使うが、ほとんど英語で授業が進められ、子どもたちは楽しみながら授業を受けていた。質問の回答が分からないとき、近くにいる子どもが、必死にヒントを出したり教えている姿が、ほほえましかった。

先生から学んだこと(先生の話し方、褒め方、注意の仕方、ジェスチャー、表情などで):
両方の先生が共通して言えるのは、言葉を体を使って表現していたことだ。子どもが訳すときにつまずいていたら、その単語のヒントになるように助けていた。先生がぱっと、答えを言ってしまえば全てはすぐに解決するが、子どもに考えさせる時間をしっかり与えていた。日本人教師のとき、動詞をジェスチャーであらわしながら、言葉にしていた。教室に帰る前に、しっかり覚えているか一人一人に質問していた。子どもはゲーム感覚で行っているような感じで楽しそうだった。

外国人教師のときは、動物の鳴き声で会話文を読むということをしていた。子どもは先生のまねをして恥ずかしがらずに喜んで読んでいた。この話が、他にも多くの国で、似たような話で語られていることも話されていて、とてもユニークな授業の行い方だなと感じ、子どもたち同様、私も楽しませてもらった。2人の先生は子どもたちを平等に、均等的に指し発言させていた。答えが間違っていたり、なかなか答えることができなくても、けっして注意せず、自信を失わせないでいたと思う。

観察して気がついたこと:
子どもたちの発音がすばらしく良いことに驚いた。英語ができる子どもとできない子どもの差はあるだろうけど、授業中そのようなことを感じることはなく、先生方の何らかの配慮があるのだろうと思った。上にも書いたように、先生は子ども達に自信を与える授業にしていた。授業といって堅苦しい感じはまったくなく、英語が身近になるような授業だったと思う。

自分が準備してきた質問(質問に答えていただいた内容や他の人の質問に対する答などの内容も書く):
小学校で使用する教科書の有無が気になっていたが、誰かの質問に対し、「子どもの興味を引く内容を提供している。」という答えから、この時々で違う内容なのだから無いのだと考えた。
英語は母語がまだしっかり使えない子どもに良いのか疑問に思っていたが、早く始めることで、音に慣れることができると聞き、身構えないで楽しめるからいいのだろうと思った。

N.S

印象に残ったこと:
児童一人ひとりが生き生きしていたと言う事 。
小学部では、基本的に日本語ではなく、英語で授業が行われている。もちろん分かりにくいところは、日本語で行っていたが、特にNativeの先生の授業は、限りなく全て英語であった。このような環境の中、児童たちは身体で内容を理解し、応答し、楽しんでいたように思えた。中には、分からなくて困っていた児童もいたが、先生はあせらせること無く、答えを待ち、褒めることを忘れていなかったことが印象に残っている。

小学部の英語授業で学んだこと(授業の流れ、展開、アクティビティの工夫など):

日本人の先生の授業

先生が“The Farmer and the Beet”を読む。

先生が一文を読み、児童がその意味を答える

先生が文を読み、児童は単語の代わりに
絵になっている“farmer”や動物の名前の部分だけを読む。

動作を表す熟語に振りをつけ、みんなで練習する。

"動作(振り付け)チェック

Nativeの先生の授業

テストの予告

先生が"The Farmer and the Beet"を読む。

だんだんと児童にも読ませる
同時に動物の鳴き声の確認

最後のページ(農夫と動物たちが夕食を食べているシーン)についての先生からの発問
"What does ______ have for dinner?"
→"The _______ has_________ for dinner."

先生から学んだこと(先生の話し方、褒め方、注意の仕方、ジェスチャー、表情などで):

  • 熟語の学習について
    熟語の意味を理解させるとき、言葉での説明のほかに、沢山の動作が使われていた。例えば“Pull on”(引っ張る)では、綱を引くような動作を加えていた。また、“Come up”(引き抜く)では、手を手前に寄せてから上に上げる動作をしていたり、低い姿勢からジャンプをし何かを持ち上げるようなジェスチャーを加えたりしていた。
  • 話し方
    はっきりとしていて、ゆっくりである。大切な部分は特に強調していた。
  • 褒め方
    先生、特にNativeの先生は間違えても決して怒らなかった。逆に、時間がかかっても出来たら褒めている。それから、何に対しても、リアクションが大きい。

観察して気がついたこと:
とにかく、聴いていて楽しかったこと。今まで私は英語をやってきたのに、初めて知ったこともあり収穫の多い授業であった。そして、雰囲気がとても良いと感じた。後は、上に書いたこと。

自分が準備してきた質問(質問に答えていただいた内容や他の人の質問に対する答などの内容も書く)

Q:小学校の英語は、中高の免許だけで教えられるのか。
A:玉川学園では可能であるが、小学校の免許も必要になってくる。

Q:小学の理解度はどのくらいなのか。
A:自分に関係のあることは理解が早い。裏を返せば、興味の無いことは気にしない。

Q:出来る子・出来ない子、どこに標準をあわせるのか。
A:どちらでもなく一人ひとり。

Q:初めて英語にかかわる子に、どのように英語を教えるのか。
A:玉川学園には、英語をまったく知らない子は居ないが、幼稚園などでは、単語で教えないようにする。文章など、チャンク(まとまり)で頭に入れさせる。

その他 先生からのお話:
異文化交流は「細く長く」。一度に多くを求めない方が良い。日頃から相手に、自分たちはこうだよと、発信する。そして、先生同士も英語でたくさん話をする。

F.M

印象に残ったこと:
@ こどもたちの主体性。自発的に手を上げる。A 先生の豊かな表情

小学部の英語授業で学んだこと(授業の流れ、展開、アクティビティの工夫など):
@ 物語で使われる主な動詞について、こどもたち自身が体を使って覚えられるようにしていた。(Pull up, come out, grew and grewなど)とても楽しそうに参加していた。
A big bookを使っていた。授業のはじめでは、真っ先に物語を読み始めるのではなく、bearの話、物語のテーマ、いくつもの国で似たような話があること。内容を想像させることもしていた。国語の授業にも応用できると思った。動物の鳴き声や食べ物についても触れていた。こどもの興味も広がる。

先生から学んだこと(先生の話し方、褒め方、注意の仕方、ジェスチャー、表情などで):
@ 物語を一文ずついっしょに読んでいくときに、細かく分けて、なるべく多くの児童が発言する機会を作っていた。先生は明るい表情で話をしていた。動詞を教えるためのカードは手作りできれいに作ってあった。
A児童の発言のあとには、必ずほめる(excellent! Very good!)
発言したことに対してお礼を言う(Thank you very much.)
アクションが大きく、表情も豊か
こどもに何かを問うたときには、その子が発言するまで目を見て待つ。
授業の終りにもほめる。(well done, guys!)

観察して気がついたこと:
いくつかの約束がある。英語で繰り返される事で身についていくのだろう。
Are you ready?  −Yes, I'm ready
Good bye song
英語教室には、たくさんの絵本や辞書などが置いてあった。

@かなり発音の上手な児童が何人かいた。男女別に着席していた。
A先生が英語を話すときは、特にゆっくりと話すわけではなく、ナチュラルスピードだった子どもの話す声がそれほど大きくなくても、そのことを指摘する事は少なかった。こどもは新しい単語を読むのが苦手である。何度か出てきたことばでも思い出せない。つまり音と文字を一緒に感じているのではないということがわかった。

S.Y

印象に残ったこと:
小川先生がおっしゃっていたコメントの中に「教師は教えるのが上手い、下手だけが重要なのではなく、一生懸命やることが最も大切」ということがありました。英語をしゃべるのが下手だとしても、話そうとする熱意、教えたいという熱意が子どもを惹きつけるのだと知りました。

小学部の英語授業で学んだこと(授業の流れ、展開、アクティビティの工夫など):
「大きなカブ」の本を読んでいる時に、リズムに合わせて、大きな声で練習していました。やはり、リズムに合わせて英語をしゃべることで、楽しい流れ・雰囲気の中で学習できる状態を先生が作っていらっしゃるのだと思いました。

先生から学んだこと(先生の話し方、褒め方、注意の仕方、ジェスチャー、表情などで):
例えば「pull up」や「pull on」など「大きなカブ」の動作をただ発音するのだけではなく、手や動きのジェスチャーも交えながら教えていました。その時の児童の様子はとても楽しみながら学習している感じでした。また授業が終わり、教室から出るときも、その動作を覚えているか確認をすることで、またさらに学習に効果的であると思いました。

観察して気がついたこと:
今回2つのクラスを見学した中で、2つのクラス・先生の共通点として、「ジェスチャー」の重要性・必要性を感じました。児童にとって初めて知る英語は、そのアルファベットからはその言葉が何を意味するかイメージすることができません。だからこそ、日本語で意味を教えるのではなく、動作・ジェスチャーと英語を結びつけることで英語を学習できるのだと思います。

自分が準備してきた質問(質問に答えていただいた内容や他の人の質問に対する答などの内容も書く):
英語を小さい頃から学ぶことは、英語に対する反応ができる基本・基礎をつくることである。中学生以降に英語を習う人の大半は、一度頭の中の日本語を英語に訳してから発言する。そのため、すぐに英語で反応することができない。ゲーム感覚であったとしても、そういった意味においても、初等教育に英語は重要であると言える。