Guest Speaker


Miguel先生
 

 

Miguel先生は、現在、玉川大学国際経営学部の非常勤講師をされていますが、5つの大学でも教えられています。カナダで音楽教育をされていましたが、文部省から招かれ、日本の東京芸術大学の先生との研究のために来日してから、8年になるとのことです。神奈川総合高校でも英語を教えられましたが、高校生達のGlobal Education にも力を入れられ、高校生達によるネパールの子供達のための奨学金プログラムの立ち上げにも縁の下の力持ちで関わられていらっしゃいました。(詳しくは、神奈川総合高校のGlobal Educationを参照)ゲストとして来ていただいた授業は総合英語1Aです。Miguel先生からのメッセージを読んでから、当日の内容に進んでください。

当日は、簡単な自己紹介の後、事前にMiguel先生からいただいたメッセージに対する質問に、Miguel先生が答られながら進められました。以下、1時間目と2時間目に受講したグループの内容を簡単にまとめたものです。

 

What is important for children?

「子供にとって大切なことは何ですか?」という抽象的な質問に、"What does baby do ?"とすぐに聞きかえされました。 赤ちゃんは何をする?赤ちゃんは、observation をし、大人の行動や様子をいつも観察しています。好奇心の塊(Full of curiosity)です。つまり、curiosityを育てることが大切なのです。レオナルド・ダヴィンチのノートにはたくさんの"why"や絵が書いてあるそうです。好奇心があると、ドラエモンのポケットのように色々なものを出すことができます。

 

教師に必要なことは?

Prioritize, time manegement, Doraemon pocket.
「ドラエモンのポケットは、何のためにありますか?」ドラエモンは、ポケットから色々な道具を出して、困っている人を助けるでしょ。」と、ドラエモンを例にし、ドラエモンのポケットのように色々な道具やアイディアが出せるようになること。1つの教え方や教材に頼るのではなく、子供達のニーズに合わせて必要なものを与えてあげること。

 

日本の子供の学力は落ちていると思いますか?

世界的に子供達の学力は落ちていると思う。どの先進国も子供達の能力が、標準テストで測られているため、How to thinkが欠けている。標準テストでは、人間の優しさや思考の深さ、Creativityなどを測ることはできない。世の中が、消費を中心(Consumer oriented society) につくられているため、色々なことが経済中心に計画され、実行しているからだと思う。

数学で1番、国語で何点など、教科では成績をつけてますが、創造性や感受性の豊かな優れた生徒を評価していません。チャールズ・ダーウィンの進化論のように、今の世界は経済が強いものだけが残って行くシステムになっています。kindnessを教えてはくれません。日本にも昔は、禅や仏教的な価値観、優しさがあったと思いますが、今の社会のシステムはkindnessがどんどん切り捨てられているような気がします。

 

Literacy

Literacy is the ability to distinguish between right and wrong. My job is not passing information, but to ask question "why."

3歳位〜7歳位の子供は、curiosityで一杯で"Why?Why?Why?"と聞いてきます。"We can make better citizen.(私達は、より善い市民を育てることができる。)" と思いますが、betterとは別にintelligentという意味ではありません。優しさや可能性をもった市民という意味です。小学校時代はsecond period of formative years that is to learn to apply skills. Literacyの欠如は、Global Issueです。

 

What is your concern?  

「子供の教育で心配なことは?」 と、いう学生の質問に、"What is your concern?" と聞き返され、学生が「世の中に溢れている暴力(child abuse, domestic violence, crime, etc)」と答えると、それをきっかけに、ミゲール先生の生徒達の話、幼児虐待を受けている子供達の現実についても触れられました。

 

日本に来てから変わったことは?   

学生達の変化は、昔は教室にオモチャを持って来ることはなかったけど、そのうち、ポケベル、タマゴッチ、PHS、携帯電話... と色々なオモチャが登場するようになったこと。自分自身の変化は、初めて日本に来た時には、カナダ人の見方や価値観で物事を判断しがちでしたが、今は"case by case"と1つ1つのケースをよく見てから判断するようになりました。どうしてもアメリカやカナダなどは大きな国のために、えてして自分達の考え方や価値観が世界の基準と勘違いしてしまいがちですが、今は1つ1つの事象をよく観察してから判断します。

 

 

Miguel先生から学生への質問

"What do you care for as a teacher?"  "What do you think important as a teacher?"

この質問をし、隣同士で教師として大切だと思うことについて話し合います。そして、「"money"とあげた人はいますか?」と聞きます。「"money"とあげた人はいますか?いないでしょ?」それが、先生と職業を選ぶあなた達の特徴だと思います。前に企業の人々に同じような質問をしたら、"money", "salary", and "vacation"という答が返ってきました。このように、教師という職業を選ぶ人達は、ビジネスの世界の人々とは異なった価値観を持っています。そして、そのような価値観は素晴らしいものなんです。お金では得られないことに価値を見い出すことは、本当に素晴らしいことです。そういう君たちだからこそ、お金で買うことのできない価値観を伝えることができるのです。

 

We teach who we are

" What do you want your students to feel when they go home?"と聞かれ、学生達は隣同士で少し話しあいました。学生の中から「また、明日も学校に行きたいな。」と思ってほしいという意見が出ました。その意見をもとに、授業の後に、子供が「また学校に来たい」と思えるということは、先生としてとても大切なこととおっしゃいます。

俳優と教師は似ています。俳優はシナリオにそって演技をしますが、セリフを読むだけでは何も伝わってきません。セリフに命をふきこむことができて、はじめて観る人々に感動を与えることができます。教師も知識や技術をただ子供達に渡すだけではだめなんです。知識や技術をどう伝えるか、それらの知識や技術を活かして、子供達自身が自分自身を知っている手助けをするのです。

教師は、親にできないことを子供にできるかもしれない可能性を持っています。今は、虐待を受けたり、様々な問題を抱えている子供達が多いです。でも、教師が子供達の周りにいる大人にできないことをしてあげることもできると思います。人は、誰でも自分が何かできることを誰かに「知ってもらいたい。褒めてもらいたい」と思っています。そして、誰かが自分の良さを知ってくれているとチャレンジすることができます。また、教師はチャレンジを与えなくてはいけないと思います。チャレンジは、テストをすることでもありません。何かを乗り越えていくことです。大切なのは、教科書でも教科でもありません。生徒です。生徒のcuriosityを喚起することなんです。そして、curiosityが自分自身を見つけるためのlearning(学び)につながっていくのです。