公共のための科学技術 |
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小林傳司(南山大学教授)編
A5判上製・296頁
定価 |
:3,675円(税込) |
発行年月 |
:2002年11月 |
ISBN |
:ISBN4-472-40274-2 C3040
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ジャンル |
:自然科学 |
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生命技術、環境問題、遺伝子組み換え作物、原子力発電所など、科学技術に起因する問題が山積している。信頼できる「真理」を、どこに、だれに求めればいいのか。専門家と市民が協力して問題解決にあたる場をつくるには。現代社会において科学技術はどうとらえればいいのか、科学技術と社会のよりよい関係を考える。 |
主な目次
はじめに(小林傳司)
第I部 理論編
1章 科学技術と公共性(小林傳司)
1 社会の科学技術化と科学技術の社会化
2 専門家主義への不信
3 科学技術の公共的役割とは
4 科学技術と社会の新たな関係に向けて
2章 科学的合理性と社会的合理性-妥当性境界(藤垣裕子)
1 専門主義の源泉-ジャーナル共同体
2 科学者の誠実と市民の不信
3 公共空間の問題解決
4 科学者の妥当性境界と公共の妥当性境界
5 科学的合理性と社会的合理性
6 結語
3章 専門性と共同性-社会的認識論の観点から(木原英逸)
1 デモクラシー/コントロール/リテラシー
2 専門性を誤解する-社会的共同としての専門的合理性
3 「民主的コントロール」を誤解する1-社会的共同としての自由
4 「民主的コントロール」を誤解する2-リテラシー論という迷路
5 目的を合わせるということ-共同性という権力
第II部 事例編
<科学的合理性と社会的合理性>
4章 科学と法の界面-科学的証拠のSTS問題(松原克志)
1 はじめに(問題の所在)
2 無人速度違反取り締まり機のSTS問題
3 刑事司法における科学的証拠の証拠能力と科学観
4 自然的関連性におけるSTS的問題
5 法律的関連性におけるSTS的問題
6 証拠禁止におけるSTS的問題
7 科学的証拠の証拠能力と「科学」的正当性
8 法と科学論・STSの協働を目指して
5章 リスクの政治学-遺伝子組み換え作物のフレーミング問題(平川秀幸)
1 リスク知識政治における科学、政治、不確実性、フレーミング
2 遺伝子組み換え(GM)作物の社会的リスク
3 GM作物のフレーミング対立の諸前提とその政治的帰結
4 非自然主義的なリスク知識政治に向けて
5 おわりに-フレーミング分析と政策的課題
<公共空間の創出>
6章 公共の場での問題解決-吉野川第十堰可動堰化問題(廣野喜幸)
1 はじめに
2 建設省案に基づく吉野川第十堰の可動堰化
3 可動堰化をめぐる市民運動
4 吉野川第十堰可動堰化問題の背景
5 科学/技術と吉野川第十堰可動堰化問題-公共空間の創出
6 結びに
7章 社会的意思決定への市民参加-コンセンサス会議(小林傳司)
1 「科学技術について語る資格があるのは誰か」
2 コンセンサス会議の仕組み
3 「遺伝子組換え農作物を考えるコンセンサス会議」について
4 専門家の意識、素人市民の意識-コンセンサス会議の経験から
5 コンセンサス会議の課題
6 「参加」の政治学
8章 専門家と非専門家の協働-サイエンスショップの可能性(平川秀幸)
1 はじめに-現代社会における市民と科学
2 サイエンスショップとは何か
3 サイエンスショップの知識政治学的な役割
4 おわりに-日本でのサイエンスショップの展開の可能性
9章 現場科学の可能性(藤垣裕子)
1 理想系と現実系
2 変数結節論
3 ローカルノレッジ(現場の暗黙知)
4 行為者と分析者
5 現場科学としてのSTS?
<知識の生産・所有・消費の諸相>
10章 Linux開発-公共空間における知識生産の可能性(調麻佐志)
1 公共空間における知識生産とは
2 Linux前夜
3 Linux誕生
4 Linux開発の特徴
5 科学知識生産への含意
11章 知的財産権の政治学-プロパテント政策下のゲノム特許と公共性(大塚善樹)
1 知的財産権の政治学
2 プロパテント政策下でのゲノム特許
3 ゲノム特許と公共性
12章 公共性からみた科学研究とリスク情報-パズタイによる遺伝子組み換え作物の危険性の示唆(林真理)
1 何が問題か?-科学の公共性と「専門家」の役割
2 遺伝子組み換え(GM)作物のリスク問題と研究者の役割・責任
3 未解決の問題-知識の専門性から解放に向けて
解題に代えて-なぜSTSなのか、なぜ政治論的転回なのか(小林信一)
索引 |
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