館蔵資料の紹介 2020年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2020年 > クロヅル
H・C・リヒター 原画 ジョン・グールド 制作
『イギリス鳥類図譜』第4巻所収 石版手彩色
縦40.8×横56.6㎝
日本では新年のめでたさを彩るものに鶴の図があり、描かれるのは、もっぱらタンチョウである。グールドの鳥類図譜の中には、残念ながらそれは収録されていないが、他の4種5図のツルが描かれている。そのうちの1種にクロヅルがあり、『ヨーロッパ鳥類図譜』の第4巻と、『イギリス鳥類図譜』の第4巻に見ることができる。
クロヅルは、全長110㎝余り、翼を広げると180㎝程になる。羽は全体的に灰色をしており、顔の前面から喉にかけてと、翼の先端が黒く、目尻の部分から頸(くび)の側面にかけてが白い。ヨーロッパに生息する亜種と、シベリアからモンゴルにかけてのアジアに生息する亜種とに分けられる。アジアのクロヅルは主に中国で越冬するが、日本にも飛来する。鹿児島県出水市周辺では、ナベヅルやマナヅルを中心に多数のツルが越冬するが、それに交じり毎年数羽程度のクロヅルも、見ることができる。それらは「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として、国の特別天然記念物に指定され、保護されている。