6.6 Comparison of each stimuli
次の図は、1次運動と2次運動の最適方向と逆方向との発火量の違いを見るために反応強度の差を刺激別に図示したものである。もし0に近い値をとれば、方向選択性はないと言え、マイナスの値を取った場合、それは最適方向より逆方向の反応量の方が大きかった事を表す。結果を見ると、1次運動に対する最適方向の発火量のほうがどちらの部位においても、はるかに大きいということが分かった。2次運動に対しては、MT野、MST野の細胞は反応するものの、最適方向と逆方向との差がほぼ0に近いことから、方向選択性はほとんど出ていないと言って良い。MT野、MST野の比較では、わずかにMST野細胞の方が発火量が大きい。Theta運動に関しては最適方向とは逆方向に大きな差が出てしまったが、細胞がバンドの順方向の動きにではなく、中身のテクスチャの逆方向に反応したと考えれば容易に説明がつく。
ここまでの結果から1次運動と2次運動で反応量が大きく違ったことから、1次運動と2次運動の処理部位が同じであるとする最初の仮説に疑問が生じてしまった。そこで次に1次運動と2次運動とでは、処理部位が異なる可能性を考え、以下の心理実験を行った。
7.Psychological Experiment -2- motion adaptation
1次運動と2次運動とで運動残効がどのように生じるのか比較実験を行った。
7.1 Method
見せる刺激パターンは4種類で、これらを上方向へ30秒間動かし続け停止させる。運動残効が生じたかどうかは口頭で答えてもらう。
図
11刺激パターン
7.2 Psychophysics 2
1次運動では、運動残効は全ての被験者で長い時間生じているという結果が得られ、2次運動のパターンでは残効がほとんど生じなかった。
図
12 刺激別による残効時間