トレーニングコース2012 実習担当者の声(ミツバチ)
今年度から、脳科学トレーニングコースにミツバチのコースが加わりましたので、担当者の立場で体験談を書かせていただきます。
今回の実習では、花蜜や花粉を集めてきた働きバチが踊る8の字ダンスを観察・解析し、ミツバチがどのあたりまで採餌行動に出かけていったかを推定するという実験と、昆虫を材料とした学習実験の典型的な例として、ミツバチにある特定の匂いを嗅がせ、その直後に砂糖水を与えることで、匂いの後にエサがもらえるということを連合学習させるという実験を行いました。私自身は日ごろ分子生物学的な研究を行っているため、凍結保存されたミツバチを使うことが多く、今回のトレーニングコースで久しぶりに時間をかけて生きたミツバチを観察することができました。
8の字ダンスの解析や連合学習実験が上手くいくと、何となくミツバチとコミュニケーションが取れたような気がします。私はミツバチ以外にもショウジョウバエ、アブラムシ、コオロギなど色々な昆虫を研究した経験がありますが、コミュニケーションが取れたような錯覚を覚えるのはミツバチだけです。やはりミツバチが社会性昆虫で複雑で高度な社会的な行動をとる生き物だからだろうと思います。
参加してくれた受講生たちにとって、今回の実習が有益なものだったかどうか少し心配なところもありますが、ミツバチを使った研究のおもしろさなど、何かを感じ取ってもらえたことと期待しています。
(佐々木哲彦)