五輪塔(ごりんとう)と
宝篋印塔(ほうきょういんとう)
五輪塔は平安時代から鎌倉時代に多く作られた「供養塔」(くようとう)です。供養とは亡くなった人の「たましい」をなぐさめることです。五輪塔は平安時代の中頃から作られましたが、関東地方では鎌倉時代に多く作られました。供養されているのは庶民ではなく、ほとんどが武士です。五つの石は下から「地」「水」「火」「風」「空」の宇宙をあらわしています。供養のためですから、遺体を埋めたり火葬されたお骨が無い場合が多いのですが、ときどき骨や骨壺が(こつつぼ)埋められているものもあります。
宝篋印塔も五輪塔と同じように、先祖や亡くなった人の魂をなぐさめるために作られたものですが、卒塔婆(そとうば)をかたどっていると言われています。卒塔婆とはお釈迦様(おしゃかさま)の骨(仏舎利=ぶっしゃりと言います)をおさめた塔のことで、お寺によく見る三重や五重塔も同じです。ですから、石の中に穴をくりぬいてお経を入れたものもあります。よく見ると真ん中の石にもようが彫ってありますが、それは梵字(ぼんじ)と言って古代のインドの文字(サンスクリット)です。この絵の梵字は「アク」と読み「釈迦如来」(しゃかにょらい=おしゃかさま)をあらわしています。