オープンリール・テープデッキ

TEAC X2000R

作者のシステムのマスターレコーダー
DATでは表現できない重く深みのある低音は、アナログ機ならではの魅力であろう

 3年程前、バイトで入ったお金の3分の2を投じて購入した最新型のオープンデッキ。しかし、最新型といっても、もう14年ぐらい前にデビューした代物であるが。以前使用していた同社のA3300SRの後継として使用している。買った当初はもうほとんど売れない品物だったせいか、デッキアンプ内の調整が不十分、二つあるピンチローラーの一つの回転がやたらと重い、1年半後には、トランスが壊れるなどかなりいいかげんに作られた外れ品であったが、サービスステーションの人が物に対して責任感の強い人だったらしく、全て無償で修繕、調整してくれた。

 この機については、プロ仕様の機器を意識して作られたらしく、クローズドループ・デュアル・キャプスタンとフルテンションサーボ制御による走行システム、多彩な編集機能、アモルファス6ヘッド、dbxタイプ1ノイズリダクションの搭載等、セミプロ機と呼べる程の機能が満載されている。中でも、この機器に搭載されているノイズリダクション”dbx1”のノイズ抑制効果とダイナミックレンジ拡大効果は驚異的である。

 カセットデッキに搭載されているドルビーノイズリダクションが、録音ソースの高域を強調して記録し、再生時に元に戻すことによってノイズを減らすことに対して、このシステムは、テープの録音の上限(+8db近辺)以上の音下限(−60db近辺)以下の音エンコーダで対数圧縮をかけて記録し、再生時にデコーダによって伸長して元に戻すことにより、S/N比100db、ダイナミックレンジ115dbという、DAT顔負けのケタ外れたS/N、ダイナミックレンジ特性を得ることができる。さらにこの機器は、以前に使っていた物に比べて使用するテープのポテンシャルを良く引き出すため、以前はあまり差の無いように聞こえていた高級テープと通常テープとの音の差が、はっきりと分かるようになった。そのため以前は頻繁に秋葉原で購入していた再生品の安物テープは、その音の悪さが露骨に判るようになったため、購入をやめる様になった。まさにこのデッキはテープを選ぶのである。

 音質は、使用するテープにもよるが、アナログ機ならではの重く深みのある低音が特長で、デジタルメディアでは出来ない音の表現が魅力である。全体として、音のスピード感はやや落ち、高域も少々荒削りになるが、落ち着いた雰囲気となり聞いていてもあまり疲労感を覚えない。DAT等のデジタル録音メディアの音を若いすらりとした女性に例えるならば、オープンリールの音は、穏やかな熟年の女性というとこだろう。この機で歌謡曲(特に小室系ミュージック)を録音すると、CDで聞くのとは違った音となってすごく面白いのであるが。

 又、レコードプレーヤーのターンテーブルがゆっくりと回るように、2つのリールがゆっくり回る様は、デジタルメディアの機器にはない独特の雰囲気を作り出す。作者としては、この雰囲気がたまらなく好きであり、小さい頃親父がこの種の機器を使っていたころは、曲が終わるまでずっとリールが回る様を眺めていたものである。今、この機器を持っていて、倉庫等で眠らしている人は、ぜひ引っぱり出して録音、再生してみる事を勧める。デジタル機器にはないゆったりとした音に再び感動を覚えることであろう。テープは、秋葉原の電気街又は、東急ハンズでしか購入することが出来ないが、買って試して見る価値は十分である。

 なお、作者は現在、この種のミュージックテープX2000Rのシルバーメタリック色の物を探している。高校時代までは、ハンター等、歴史の古い中古レコード店で売っていたのであるが、ここ最近は、どこにも売っていない有様である。以前、叔母の家でこの種のミュージックテープによるバッハのブランデンブルク協奏曲を聞いたのであるが、その柔らかでゆったりとした音色に感動した記憶がある。この類のテープを売っている所を知っている人はぜひ電子メールを送っていただきたい。後、X2000Rのシルバーメタリックのものについては、その存在が、解説書に書かれている物を見て初めて知った。個人的にはメタリック系の色が好きなのであるばかりでなく、自分のシステムは、そのほとんどがゴールドメタリック色であるので、ブラックでは、釣合がとれないのである。TEACでメタリック色の物に改装してくれるとありがたいのであるが、この商品は現在カタログから姿を消してしまっている商品なのでおそらく無理であろう。よって作者は、これの中古品を探している。持っていて使わない人はぜひ電子メールを!状態によって相応の値段で買い取らせていただきます

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