カセットデッキ
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録音がメインの作者にとって、録音機は最高の物を使いたいというのが願いである。他にも色々な高級デッキがあったが、SONYの代物は非常に堅牢に作られているため、このデッキを購入した。残念だったのは、この一つ後のモデルにドルビーSが搭載されたということであり、もう少し待てばよかったかもと、少しばかり後悔の念がある。
音質の方は、以前使っていたものと比べて格段に良くなった。前のはヘッドがセンダストとフェライトの合金で出来ていたため、摩耗の少ないのは結構だがテープとの相性が悪く、メタルテープを使っても、最大出力が+4前後と低く、音質もずいぶんと固いものであったが、このデッキでは、ヘッドの材質にアモルファス金属を使うようになったため、使うテープによっては、+9以上の出力を得ることができる。又、バイアスやイコライザー、録音レベルの微調整もできるため、調整によって自分好みの音で録音をすることが可能となり、レコーディングの面白さが一層増えた。
テープ走行システムもクォーツ制御のダイレクトドライブシステム、テープの供給側と巻取り側の両方に同じ方向に回転するキャプスタンを搭載してテープが安定してヘッドに接触できるようにしたクローズドループ・デュアルキャプスタンシステム、キャプスタンのベアリングにサファイアを使用するなど、徹底した安定性、高精度化が図られており、音飛び一つ起こらない。
DATと違い、アナログレコーダーの良さは、使うテープの種類によって色々な音質として記録できるという自分だけの音を作りだせるという事にあり、高級機に標準装備されているバイアス、イコライザー調整機能は、その事をより一層引き立ててくれる。
よく知られていることだが、カセットテープには3つの種類がある。まずは、タイプ1と呼ばれるノーマルテープであり、磁性体にガンマヘマタイト等の酸化鉄を使うものである。酸化鉄を使用しているため、テープは茶褐色の色をしている。このテープは、どんなレコーダーでも使うことができ、出力も大きく豊かな低音、スピード感に豊んだ音が魅力である。フルートやトランペット等のゲインの高い音を録音することは困難だが、高級な部類のものになると磁性体にコバルトを添加して、それを補おうとしている物もある。作者が一番好んで使うテープである。
次は、タイプ2と呼ばれるハイポジションテープである。磁性体はコバルト系の物が中心であるが、かなり前は、磁性体の主成分が二酸化クロム(CrO2)であったためクロームテープと呼ばれており、ポジションの表示にCrO2と書かれているのは、その時の名残であるとおもわれる。不意の大入力による歪みに強く、ノイズが少ないのがこのテープの利点であるが、出力は抑えられがちで+5前後である。このテープについて作者は、よっぽどの気紛れが無い限り、購入することはない。音質がノーマルテープとメタルテープの中間に位置するためどっちにつかずと言うことと、出力が低いと言うことがその理由である。
3つめは、タイプ4と呼ばれるメタルテープである。このテープは磁性体に純鉄を用いたものであり、そのため保磁力が大きく周波数レンジが広い、大出力である等の数多い利点がある。ただし、歪みにやや弱い欠点があるため、録音のレベル調整は、厳密に行わなければならない。管楽器や声楽曲等、周波ゲインの高い曲の録音に作者は使用している。
最後に、今は無くなってしまったタイプ3について説明しよう。タイプ3はノーマルテープの磁性体を下層にハイポジションテープの磁性体を上層に塗布した二層塗りのテープの事を言い、その構造からフェリクロームポジションテープ(Fe−Cr)と呼ばれたテープである。音質は、とても柔らかく暖かみのある音であるが、歪みに弱く周波数レンジもあまり広いとはいえない代物であり、扱い方が難しいのが欠点である。今ではノーマルテープが高性能化してしまったため、コストのかかるこのテープは作られなくなってしまった。しかしこのテープは、このポジションの他、ノーマルテープのポジションでも使う事が出来るという大きな利点があるため、現在のテープ製造技術を持ってすれば、非常に優れたものが作れると思うので作者としては、ぜひ復活してもらいたいと思う。
・・・何だか肝心のデッキの評論よりテープの説明に終始してしまった気がする。
スペック