CDプレーヤー

PIONEER PD−T06

ターンテーブルディスクドライブ&疑似倍音発生DSP「レガート・リンク・コンバージョン」搭載のプレーヤー
繊細かつ軽快な音が魅力的である。

 録音中心の作者にとって、CDはあまり聞かない部類にはいるのであるが、しかしまったく聞かないというわけでもない。少々高かったがターンテーブルや倍音発生DSP等、音質的に優れた効果を発生させる機能が搭載されているということで、購入した。


 イジェクトボタンを押すと、トレイがターンテーブルごと出てくる。ターンテーブルの構造は、テーブル本体が回転するのではなく、トレイと格納された後、プレーヤー本体内のスピンドルシャフトに接続され、それによって回される形をとる。他社のターンテーブルシステムを持つプレーヤーに比べて最も簡単な物であろう。
 本体内の部品や回路の基盤は、準高級機らしくかなり良いものが使われており、要のパーツには、銅メッキが施され、DAコンバータも左右チャンネル独立して2つ搭載されている。

 レガート・リンク・コンバージョンについては、当初倍音の効果が本当に出ているのか疑問であったが、音響テスト用のCDとオシロスコープを用いることによって、その効果が出ていることが、確認できた。10Khz以下では、効果はないが、それ以上の周波になると、単一の正弦波に複数の周波の正弦波が同時に現われてくる。20Khz近辺になると、波形は無数の周波の正弦波で奇妙な形になる。その波形の1つ1つは、20Khz以上の周期の波である。

 音は、1ビットDAコンバータらしい繊細で明るく軽快な音である。親父の使っている初期のマルチビットタイプのDAコンバータ搭載のプレーヤーに比べて重厚な低音を出すことに少々欠けているのは残念であるが、室内楽、特に、チェンバロとフルートやヴァイオリン等の小編成の曲では、レガート・リンク・コンバージョンと1ビットDAコンバータの組み合わせは曲のニュアンスに絶大な効果をもたらす。
 デザイン、音質とも作者好みの優れたプレーヤーではあるが、収納してもトレイと本体の間にかなりすき間があるためそこから埃が入り込むという、デジタルメディアとしては、非常にありがたくない欠点が唯一あるが、それを除けば、このクラスでは、すぐれた部類に入るプレーヤーである。
 なお、作者はこのような倍音を発生させるDSPの制作を修士論文の課題にしたいと思っている。

PIONEERの技術者の方々、ぜひ私めにアドバイスを!!

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