DATデッキ

PIONEER D−07

広帯域96Khzハイサンプリング・ワイドモード搭載
通常モードでもレガート・リンク・コンバージョンによる滑らかな音を再生

 この機器の購入に当たっては、帯域44Khzまで録音できるというワイドモードが搭載されているというのが一番の目的であった。自分のシステムのマスターレコーダーであるオープンリールデッキの帯域が40Khz近くまであるというのに、それに及ばないような代物では困るからである。ADコンバータには、18マルチビットADコンバータを DAコンバータには、作者のCDプレーヤーにも搭載されている1ビット・パルスフローDAコンバータを左右チャンネル独立して搭載している。

 音質というと、ワイドモードと通常モードとでは、かなり違う。ワイドモードの方では、深みが付き、きびきびとしていて、音に非常なリアリズムを感じるが、そのぶん長時間のリスニングでは少々苦痛を感じる。通常モードではその逆で、音が柔らかくなり自然体で聞くことができるが、少々音が浅くなって物足りなさを感じる。このことは、レガート・リンク・コンバージョンDSPの処理の有無、ワイドモードと通常モードの情報量の違いであろう。しかし、このような違いがあることは、アナログ録音システム寄りの作者としては、好ましいことであるように思われる。

 基本として、自分はDATで曲集を作るようなことはしていない。あくまでも自分のメイン録音システムは、オープンリールを主体としたアナログ機であり、DATは、エアチェックの媒体であるからである。音楽を正確に失敗無く編集するには、音を限りなく正確無比に丸録りできる媒体がどうしても必要となる。DATは、音をデジタルデータによって記録するため妙な味がつかず、テープによって長時間録音も可能であるため、媒体としてはうってつけである。
 買った当初は、ワイドモードを頻繁に使っていたが、最近は、忙しさとMDレコーダーを購入したことによるデジタル機器とのデジタル録音の必要性が出てきたため通常モードを使用することが多くなってきた。
 現在PIONEERのDATデッキのほとんどはワイドモードとレガート・リンク・コンバージョンDSPを搭載しているが、それらのテクノロジーを搭載した最初の商品として高く評価できるものである。

スペック


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