スピーカーシステム

AETA−SP3 バスレフ・キャビティ

DIATONEのDS8000に対抗すべく設計したスピーカー
JBLのウーハーが、歯切れ良い低音を奏でる

 SP2と同じく、38口径の大型ウーハーを搭載したモデル。しかし、SP2とは対照的に出来るだけ小さな箱で深みのある低音を出そうと設計をこらした物。

 ウーハーはJBLの2235Hを使用。出力音圧93デシベルと、38口径のわりには能率が低めであるが、20hzもの低音域からの再生が可能のユニットで、ハイ・コンプライアンスの部類に属する物であろう。

 スピーカー内部は、ウーハー部とミッドレンジ部の2つに分かれている。普通、ミッドレンジのスピーカーには、バック・キャビティと呼ばれるウーハーから繰り出される背圧を避けるための小さな箱状のカバーを背面に被せるのであるが、このスピーカーでは、それだけにとどまらずスピーカーの中にスピーカーを作り込むような形をとる。わざわざこのような形式をとったのは、大口径のスピーカーは、音を小さくするとその構造状低音がでにくくなる。そこで、なるべく低い音域までカバーしている小口径のミッドレンジを使用し、ミッドレンジ用のもう一つのバスレフの箱を作ることにより、小音量での低音の出にくさをカバーしようと言うものである。これが、バスレフ・キャビティと銘々したゆえんである。よってミッドレンジには、3ウェイシステムにつきもののバンドパス・フィルタを搭載していない。

 あと、音響に対する工夫として、パイプダクトを自由に取り外して、任意の長さに切断したパイプを取り付けられるようにした。DS8OOOは、クロスオーバーを可変できるネットワークボックスを搭載しているが、作者は、それを作るだけの予算がないためこのような工夫を取り入れた。このことによって、長さの違うパイプダクトを取り付けることにより、低音の再生範囲をユーザーがコントロールできるようになった。

 音の方は、歯切れの良い低音と透き通った高音が魅力的に感じられる。JBLのユニットは昔からジャズ向きと言われているが、あながち噂だけの事ではないようだ。クラシック好きの作者には、ゆったりとした低音が好きなのであるので、今度フォステクスのFW405をためしてみようかと思う。ツィーターには、フォステクスのリーフ・ツィータFT7RPを用いた。これは、振動板にプラスチックフィルムを用いたもので、45Khzもの周波まで再生することができるため、チェンバロのような繊細な高音の鳴りも奇麗に表現することができる。
 
 問題として、ミッドレンジに用いたユニットが良くなかった。このテクニクスEAS−16F20は、帯域が35hz〜20Khzと非常に広いのであるが、いかんせん自己主張が強く、このユニットの音だけ鳴り響いてしまうのでアッテネータでかなり絞らなければならない。これは、ユニットの選定を間違えたと言わざるおえない。今まで使用したユニットの中で、ミッドレンジには、フォステクスのFXシリーズが一番好適であった。このユニットを使いたいのであるが、16口径のユニットは、このシリーズに無いのである。フォステクスさんにぜひFXシリーズの16cmバージョンを作っていただきたいと思う。

作者が参考にしたDIATONE DS8000


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