1.高温ラム押出しと押出材の力学的挙動 熱可塑性高分子材料の大きな塑性変形は,分子配向と高次構造変化を生じ,その力学的性質が著しく変化する.このとき成形加工条件と力学的性質の関係を明らかにすることが重要である.高温ラム押出装置を用い,種々の押出温度と押出比で成形した押出材の引張試験,せん断試験を行っている.
1)佐野村幸夫:“プラスチックの高温固相押出しに及ぼす拘束冷却の効果”,塑性と加工,36-418(1995-11),pp.1324-1330.
2)佐野村幸夫:“ポリカーボネート押出丸棒の力学的挙動”,成形加工,12-11(2000),pp.736-741.
3)Yukio Sanomura, “Mechanical Properties of Thermoplastic Rods by Hot Extrusion in Solid State under Constrained Strain Recovery”, Material Science Research International, 19-4, (2003-12), pp.248-254.

2.構成式の開発とFEM解析 高分子材料が構造部材に利用されてくるにつれて,その構成式が注目を集めている.これまで延伸材料の異方弾性定数を予測する弾性構成式,静水圧依存性塑性構成式を提案した.現在,他機関と共同で提案した構成式によるFEM解析や新たな粘塑性構成式の開発を進めている.
1)佐野村幸夫:“静水圧依存性高分子材料の塑性構成式”,材料,50-9,(2001-9),pp.968-972.
2)Yukio Sanomura,"Constitutive Equation for Plastic Behavior of Hydro-Pressure-Dependent Polymers", Materials Science Research International, 19-4, (2003-12), pp.243-247.
3)佐野村幸夫:高分子材料の力学的挙動と構成式,塑性と加工,44-509,(2003-6),pp.570-574.
4)
佐野村幸夫・早川邦夫,“静水圧依存性高分子材料の塑性構成式に対する等方硬化理論の修正と移動硬化理論の適用”,材料,53-2, (2004-2),印刷中

3.短繊維強化複合材料の縦弾性係数と強度の予測 配向パラメーターを用いて,縦弾性係数と強度を予測する手法を提案している.
1)佐野村幸夫:“押出しによる短繊維強化複合材料の配向制御と縦弾性係数の予測”,日本複合材料学会誌,27-3,(2001),pp.161-166.
2)Yukio Sanomura and Munehiro Kawamura, "Fiber Orientation Control of Short-fiber Reinforced Thermoplastics by Ram Extrusion", Polymer Composites, 24-5, (2003-10), 587-596.

4.短繊維強化複合材料の3次元配向計測
 切断面を計測することによるCore層の計測と楕円形状の計測による精度向上を目的として,開発している.
1)川村宗弘・池田悟至・守田了・佐野村幸夫:“超音波顕微鏡画像による繊維強化プラスチック断面の干渉縞と楕円形状に着目した3次元繊維配向の計測”,成形加工,13-5,(2001-5),pp.317-322.
2)川村宗弘・守田了・池田悟至・友永文昭・井上敏夫・森直樹・尾本正明・佐野村幸夫:“クリスタリング手法を用いた衝撃吸収材料の三次元繊維配向分布解析”,成形加工,15-3,(2003-3),pp.224-231.

5.「接合・複合」分科会事故事例研究班報告 
事故のうち接合・複合に関するものを調査し,それらの事例に学ぼうという趣旨に基づいている.
1)白井秀明・吉田一也・木村南・佐野村幸夫・大坪悟:“事故事例に学ぶ接合・複合”,塑性と加工,38-441,(1997),pp.909-915.
2)白井秀明・吉田一也・佐野村幸夫・早川邦夫・桜井冨美夫,“事故事例に学ぶ接合・複合−その2−”,塑性と加工,44-512,(2003-9),pp.922-927.

6.クリープ損傷発展式の定式化
1)佐野村幸夫,“変動応力を受ける銅のクリープ損傷法則”,日本材料強度学会誌,37-2,(2003-5),pp.23-31.